私がCGに手を出さない理由


Hiroko Takakusaki, 1997, Oil on canvas, 73x61cm, 「サボテン」


 コンピュータは今や生活に欠かせない大変便利なツールとなりました。インターネットをうまく活用することで欲しい情報を簡単に入手することができるようになりました。日本語ワープロが開発されて広く普及するようになったとき、直筆の文書は消滅するのではないかという議論があったと思います。いくらワープロやパソコンで毛筆体の出力が可能となっても、「書」はなくならないと思いますし、美しいペン字や毛筆はますます重宝されるようになると思います。

 コンピューターで絵の具を使わずに絵を描くことができるようになりましたが、その生成物はアプリケーション・ソフトの性能やそれを使いこなす技術に依存します。オリジナリティーを出すために手書き作品をスキャナで取り込んだり、自分で撮影した画像を取り込み、加工するようなことをすると聞きます。それにしても、ちょっとした画像処理やその組み合わせで思わぬ効果をまたたくまに出すことができ、データの保存や管理といった事のほうが煩わしくなるのではと想像しております。

 ところで、私は絵を描くという、その実際の絵の具の感触や混ざり合う感じ、また身体の疲労も伴う作業の課程を大切にしたいと思っています。作品はアナログな作業により生まれるものでそれを撮影したりデジタルの画像で置き換えることは別のものだと思っています。ですから、作品の複製としてプリントすることやHPの壁紙を作ってみることはあっても、まず当分はコンピュータ・グラフィックスによる創作を主体とすることはないだろうな、と思います。

2001.07


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Hiroko Takakusaki, 1997, Oil on canvas, 73x61cm,
「ふくらむ想い」

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